長く球場に足を運んでいるとどうしても1試合ごとの印象って薄れがちになるもんですが、そんな中でも年に数回は、何年後何十年後になっても生で観ていたことを覚えている試合というのは生まれるもんです。
たいていは大逆転とかサヨナラとか、ドラマチックな展開になった試合がそれになるのですが、試合自体は凡戦だったけれどそこで節目の記録とかが生まれたので記憶に残るパターンもあります。
ある選手がプロ入り初○○した試合とかそうですね。とりわけ初出場は即戦力ルーキーでなければ大差の付いた試合の終盤に、とかそもそも消化試合だから、という流れで起用されやすいので、初出場の試合そのものはさほど語るべきものでないことが多い印象。
その球団の歴史上最後の試合や、本拠地移転前のホーム最終戦でプロ初出場とかプロ初安打、なんて選手もいたりはしますけど。
その時はあんまり印象に残っていないけど、その記録が話題に上がることで後になって「ああその試合俺観に行ってるわ」なんて思い出したりします。
なんでいきなりこんな内容からかというと、多分この試合がそうなりそうだから。
ライオンズの先発はルーキー佐々木健。
開始から5分も経たないうちに、もうマウンドに居ませんでした。
危険球退場。先発投手としてはNPB史上最速の、先頭打者への3球目でのことでした。
今日の座席位置では、当たった音は聴こえました。かすったけど確実に当たっていることがわかる、小さく鈍い音。頭部に当たったことも、幸い脳にダメージを受けそうな衝撃ではないこともわかる音。
スタンドはもちろん、両ベンチも「あっ」てなってました。オリックス側も、大事に至る衝撃ではないとわかってる分、すごく微妙なリアクション。あ、いや、うーん、でも、頭だよね、みたいな。
投げた当人も捕手森も、場所が場所なので変な雰囲気。さらに淡々とした球審の事務的な動きが変な空気に拍車をかける。当人大丈夫そうでなによりだけど、間違いなく当たったし、場所が場所だし、これはもうわかってますね、見逃すとかないですから、みたいな感じで静かに退場を宣告し、淡々と場内にアナウンス。
あまりにふわっとした空気だったので、その瞬間目を切っていた観客とかはすぐ理解できなかったのではなかろうか。え、当てたの?しかも頭だったの?それくらいサイレントな退場劇でした。
気になって調べたらやっぱり最速記録でした。めでたくねー。
打者は実際影響はなかった模様。少しずれるだけで大事故の箇所なので、とにかく大事に至らず良かったです。1日で判断できるものではないのかもしれませんが。
佐々木は静かに退場。
今はスタンドからの声掛け不可なので、もう黙って見送るしかできません。拍手って状況でもないしなあ。非常に気まずい時間でした。引きずらなければいいですが。
この非常事態で呼び出されたのは渡邉。
近いうちに先発させても面白い、と思ってはいましたが、さすがにこの状況は酷。試合を進めてくれただけでも今日に関しては充分です。この非常事態でむしろ開き直れて…という展開を期待してなかったといえば噓になるけど、そうさせてくれるほど今のオリックスは甘くなかったということですね。
中軸が好調なのはもちろん、3,4,5番が総じて簡単に終わらないってのは相手としてかなりきつい。追い込まれても簡単には終わらずしっかり粘って、相手の選択肢を削っていって、手詰まりにさせたところを最後にしっかり仕留める。これを3人ともしっかり遂行してるんじゃ、そりゃ順位も上がるわ。
あの姿を目の前で観させられたぶん、余計に山川の淡白さが目立ってしまう試合。森中村がチャンスメイク役にまわったとしてもそれを活かせるようにの6番だと思うんですが…。呉に関してはこれまで結果出してるし、尚更こういう日こそだったんですが。そろそろここらで巻き返さないと、今が不調ではなく通常という認識になってしまいそう。
投手は、渡邉は言うまでもなく水上と田村が頑張っていました。
水上の好投ぶりは台頭し始めたころの森脇に似ている気がします。その森脇がずっと低空飛行なのが勿体ない。森脇がそのままで水上もとなればチーム力の底上げになるんですが、いってこいみたいになっちゃってるからなあ。森脇もそんなとこでそんなピッチングしている立場じゃないんだけど。
田村、完ぺきとはいえませんが凄く気持ちが入っていた印象。入っていた分渾身の勝負球がボールにされたところで切れちゃったかな、と思いましたが最後仕切り直しでもうひと踏ん張りをみせてくれました。今度こその渾身の一球をしっかり投げ切ったあの瞬間は心揺さぶられました。格好良かった。よくあの球を投げ直せたなー。あの精神状態が維持できれば、チャンスが巡ってくると思います。個人的にはこの日のハイライト。
試合が壊れなかっただけでもよく頑張ったという日ですね。上に挙げた3人の飛躍に繋がる試合になれば万々歳。田村に関しては繋がれば、というより実際そうなるのでは、という予感と期待が個人的にかなりあります。
もちろん佐々木の飛躍に繋がってもいいです。次どうするかね。3球降板だからなあ…。思い返せば、試合前の三四郎・小宮さんと同じ球数しか投げてないという。
久しぶりに球弁。記念ポストカード目当て。
巧御膳は美味しい。ボリューム不足がなければな。
栗は妻に食べられました。
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